MAGAZINEプチさんマガ

三島のまちの歴史と文化を歩いて体感!
紙と神をめぐるガイドさんとのまち歩き。

2021.07.20

2021年6月26日(土)、チャレンジプログラム 「ガイドとまち歩き『しこちゅ~ 紙と神の物語』」に参加しました。
研修を受けたガイドさんとともに、四国中央市の各地域のポイントで説明を受けながら周るウォーキングツアーです。

齢88歳の大ベテランと新人ガイドの最強タッグで

『紙と神の物語』というタイトルには、和紙から洋紙へと移り変わりながらも日本の紙産業を支えている三島という土地の歴史と、そこで愛されてきた神様や仏様と地域とのかかわりの歴史が込められています。

今回のガイドさんは、齢88歳の大ベテラン・石川克己さんと、えひめさんさん物語の研修でデビューした篠原克昌さんです。篠原さんの丁寧な説明と、実体験をもとに語られる石川さんの解説で、三島地域への理解が深まりました。

▲ガイドの石川克己さん(右)と篠原克昌さん(左)

紙の街の第一歩は、集合場所のルミエールから徒歩数分の街角。緑に囲まれた小川と、遠く望む山並みを描いた写真が残っており、この地域では古くは紙すき業を営んだり紙の売買に携わったりする家が多く立ち並んでいたそうです。現在はコンクリートに囲まれていますが、小川から紙すきに必要な水が得られ、山からはコウゾやミツマタが獲れたそうです。

▲紙すきや暮らしを支えた小川の側で

▲住宅街越しに見える三重塔。まるで京都の街のような気分に

そのまま歩いていくと、住宅街の屋根の合間に、普門院摩尼山興願寺(ふもんいんまにさんこうがんじ)の三重塔が見えてきます。愛媛でも3つしかなく、県指定文化財となっている興願寺三重塔は、徳島県・太龍寺に建立されていたものを昭和28(1953)年に譲り受ける形で移築されました。移築を経ても建立当初の姿が再現されており、とても荘厳な姿を見ることができます。境内には、種田山頭火の句碑もあり、文化と歴史の感じられる空間です。

▲県指定文化財の三重塔。徳島県の太龍寺より4年の歳月をかけて移されました

▲種田山頭火の句碑。旅の疲れを癒した様子がよくわかります

興願寺のすぐ傍には、中曽根の庄屋さんゆかりの汐汲道(しおくみみち)があります。海水を運ぶために通った道で、地元の方々は「しょうこみち」と呼んでいます。

地元の人に愛され、親しまれる「紙産業のお宮」

汐汲道から西の方に、四国中央市の有形文化財が複数ある三島神社があります。養老4(720)年に大三島・大山衹神社の神霊を勧請(神仏の分身、分霊を他の地に移しまつること)して造られました。

裏門からは、檜皮葺(ひわだぶき)の屋根をもつ旧本殿を見ることができます。四国中央市最古の木造建築物です。昭和60年に解体修理の後、復元されたものです。

境内の一部には、春日神社という商売繁盛の神様を祀る神社もあり、地元では「紙産業のお宮」として崇拝されています。また、「鯛寄石」などとも呼ばれる「龍宝石」も祀られており、汐汲道の伝承に登場しています。
神様が身近に存在し、地元の人たちに愛され、親しまれている様子を肌で感じることができました。

▲三島神社の入口。荘厳な雰囲気で厳かな気持ちになります

▲海中から引き揚げられた「鯛寄石」

三島神社から商店街を抜けた広島銀行三島支店には、今治藩の陣屋跡の石碑があります。四国中央市は、複数の藩の支配を受けた土地で、そうした時代の名残が、街中を走る小道などにも見て取ることができます。

▲江戸時代の三島を今に伝える貴重な石碑です

三島港の向こうに大王製紙を望む広場には、お台場跡が残されています。幕末の外国船対策として設置されたお台場ですが、実際に大砲が設置されたかの記録はありません。大砲製造のために寺の鐘を供出したという記録は残っています。また、昭和初期に撮られた三島港の前の姿を彫った石碑もあります。現在は川之江港と合併し、四国で最もコンテナの取扱量が多い港になりました。

▲お台場跡はこんもりとした茂みになっています

『書道ガールズ!!』のロケ地で、気分は映画の中

最後に歩いたのは中通り商店街です。2008年の「第1回 書道パフォーマンス甲子園」開催という実話をもとにした映画『書道ガールズ!!』が作られ、中通り商店街で実際にロケが行われ、商店街の皆さんもエキストラとして出演したそうです。紙を通して人と人がつながる、その一端を垣間見ることができました。

▲商店街入り口には、『書道ガールズ!!』のロケ地であることを示す大きな看板が掲げられています

▲実際にロケで使われたお店の前には詳しい説明が書かれた看板があり、映画の世界に入り込んだようです

ルミエールに戻り、参加者やガイドの皆さんと昼食をいただきました。全行程、約2時間半を歩いた後の食事はとてもおいしく感じました。

▲当日のランチ

(取材・文:串部公基)

【今回の取材先】
チャレンジプログラム 「ガイドとまち歩き 『しこちゅ~ 紙と神の物語』
開催日:2021年6・9月 第4土曜日
時間:10:00~13:00
催行人数:2名様より(小学生以上・定員8名) ※小学生は保護者同伴
集合場所:ルミエール ロビー(現地集合)
参加費:2,000円(ガイド料、昼食等、保険料を含む)
※新型コロナウイルス感染症の影響により、昼食が中止となる場合がございますのでご了承ください。昼食中止の場合は参加費が1,000円になります。

今回と同じ『しこちゅ~ 紙と神の物語』は、9月25日(土)にも開催が予定されています。
三島の文化と歴史を歩いて学ぶ2時間半、ぜひ参加してみてください。
また、秋の開催では、新宮地域を歩くプログラムもあります。

「ガイドと歩く 四国・参勤交代の道 ~新宮町・霧の森界隈~」
開催日:2021年9・10・11月 第2土曜日
時間:10:00~13:00
催行人数:2名様より(小学生以上・定員8名) ※小学生は保護者同伴
集合場所:霧の森 第1駐車場(現地集合)
参加費:2,000円(ガイド料、昼食等、保険料を含む)
※新型コロナウイルス感染症の影響により、昼食が中止となる場合がございますのでご了承ください。昼食中止の場合は参加費が1,000円になります。

お問い合わせ、プログラム参加申込先:
四国中央市観光協会
住所:〒799-0497 四国中央市三島宮川4-6-55 観光交通課内
TEL/FAX:0896-77-5003Mail:shikochu-kakou@cosmostv.jp