MAGAZINEプチさんマガ
銅山峰登山は産業遺産を辿る道
近年人気が高まっている、登山。
愛媛だとやはり石鎚山が有名ですが、筆者個人的には銅山峰も推したいと思っています。
今回お伝えするルートは日浦登山口(旧別子山村側)から入山するルートなのですが、お勧めの理由は以下の三つ。
- 登山初心者でも登りやすい
- 山道そのものが産業遺産をめぐる道
- 国の天然記念物に指定された「銅山峰のツガザクラ群」
それぞれについて少し詳しく説明してみましょう。
まずはひとつ目、『登山初心者でも上りやすい』については、登山初心者かつ体力の無い筆者でも登れたからです。
インドアで万年運動不足の筆者ですが、それでも自然が好きなもので時々山に登りたくなります。
ちなみに初めて登った時の体力レベルは、石鎚山の標準ルートが辛すぎてリタイア寸前に追い込まれたほど。
そんなへっぽこ筆者でも、銅山峰は毎回山頂まで無事踏破できました。
だからといって登るのがつまらないほど楽勝な道ではなく、初心者にはほどよくきつくて達成感が味わえるちょうど良いルートだと感じています。
次にふたつ目、『山道そのものが産業遺産をめぐる道』についてですが、これこそが銅山峰の魅力だと強く言いたい。
新居浜市と言えば銅山で栄えた町であり、閉山してもなおその名残はいたるところに見られます。
旧別子山村側から入る銅山越えルートは、当時の遺構が多く残っており、
苔むした坑道後や、集落跡地、赤レンガで造られた建物や煙突が、昨今流行りの『廃墟マニア』でなくても心惹かれてしまいます。
当時のことを知る人が減っていくなか、銅山が栄えていたころを思い起こし、哀愁に浸ったり、先人の苦労に想いを馳せたり……。
確かにあった人の営み、朽ちて自然に還っていくさまを感じていただけたらと思います。
三つ目『国の天然記念物に指定された「銅山峰のツガザクラ群」』について。高山植物であるツガザクラ、実は四国では銅山峰でしか見られないんだそうです。
特殊な気候や条件が重なった結果、ここだけが唯一生育条件に適していたのだそうで……(その特殊性が「植物地理学的、生態学的、遺伝学的に価値が高い」と評価されたのだとか)
毎年花が咲く5月になると、この花を見るために訪れる登山者も多いものです。
気軽に登山を楽しみたい方(といっても準備はしっかり!)、廃墟好きの方、珍しい高山植物に目が無い方、銅山峰に登ってみてはいかがでしょうか?
(取材・撮影/箱田千尋)(ツガザクラ写真提供・別子中学校)