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美味しさも思いも膨らむ海底熟成酒プロジェクトに潜入

2023.02.22

寝る子は育つと言いますが、お酒も海底で寝かせたらまろやかで美味しくなるそうです。しかも海賊がいた場所に沈めたらどうでしょう?なんか、お宝っぽいですよね。ひとつなぎのワンボトルを目指して海〇王に俺はなるみたいな笑。そんなロマンが詰まった取り組みをしている酒屋さんが新居浜にあるのです。

魅力満載の「がいや酒店」

新居浜駅から北西に500m進んだところにある「がいや酒店」。1970年創業の地元密着の酒屋さんです。専門店ならではの品揃え、焼酎好きにはお馴染みの量り売りもあります。2代目店主の金子弘一さんはアイデアマン。量販店やコンビニがお酒の取り扱いを始めるや否や、ネット通販を開始。キムチや化粧品まで扱い始めました。

▲ずらりと並ぶお酒
▲量り売り用の樽とかめ

ネット通販でもどんどんとライバルが増えてきて、地域色のある個性的な商品がほしいと考えている時に海底熟成酒のことを知りました。宇和島でやっている人たちのところに直接赴き学んだそうです。

▲店主の金子さん
▲化粧品や入浴剤も販売

海底熟成酒って?

その名の通り海底に沈めて熟成させたお酒です。海底は太陽の光が届きにくく、お酒の天敵紫外線を防ぐことができます。温度変化が少ないのも熟成するのにいい環境。そして、波。ゆったりゆらゆら一定のリズムで揺られることで、アルコールと水の分子がうまく合わさり角が取れてまろやかな味わいになるそうです。熟成のスピードは陸上のなんと10倍と言われています!

▲海底に沈めたお酒

ロマン溢れる「海賊の海底熟成プロジェクト」

「新居浜のPRにもつなげたい」と考え、お酒を沈める場所を海賊伝説が残る大島沖に選びました。大島には数々の伝説が残っています。沖合で天武天皇の子ども大来皇女生まれたり、後醍醐天皇の子ども懐良親王が幼少期を過ごしたりしています。そして忘れてはいけない、瀬戸内海の大海賊・村上水軍の海賊大将と言われる村上義弘が生まれた場所で、活躍した伝説が数々残っています。

▲協力してくれたダイバーや漁師さん
▲流れないように鉄製のラックに入れます

そんな伝説を、大島のことを少しでも知ってもらおうと、熟成酒を買ってくれた人には自作したパンフレットを同封しています。

▲自作したパンフレット
▲大島に関する歴史も紹介

どんなお酒を沈めたの?

地元新居浜の酒蔵・近藤酒造さんや四国中央の梅錦山川さんの日本酒のほか、焼酎やウイスキーワインを沈めました。注目は、大島で獲れる希少な白いも(七福芋)を使った焼酎!島でできたものを島で熟成するなんてロマンを感じます。

◇◇プロジェクトストーリーをご紹介◇◇
2019年12月 1回目の沈める作業:沈めたお酒の本数370本
2021年1月 1回目の引き揚げ作業:370本中の約半数を引き揚げ
2021年10月 2回目の引き揚げ作業&沈め作業:初回の残りを引き揚げ、約600本を沈める
2022年11月 3回目の引き揚げ作業&沈め作業:2回目の500本を引き揚げ、550本を沈める

▲3回目の引き揚げ商品

沈めるお酒には特殊な蓋がしてあるので海水が入ることはありません。でも引き揚げた際は瓶全体にフジツボや牡蠣の子どもがびっしり付いていることもあります。それを高圧洗浄機である程度きれいにして商品化します。ラベルの一部が剥がれたり、フジツボが少し残っていたりするのが海底にいたことを証明してくれます。

▲フジツボびっしり
▲ラベルも剝がれています

気になるお味は?

2回目の時に引き揚げ&沈め作業を体験された神奈川のバーマスターのレポートによると、「色が濃くなっていて、香りは甘く輪郭が丸くなっている。味わいは沈める前よりも刺激が弱く、まろやかで奥行きが感じられる」そうで、大絶賛しています。

▲木箱入りの飲み比べセットも用意

お酒以外も熟成

熟成したら美味しいのは何もお酒だけではありません。今度は焼き肉のタレや醤油を沈めようと考えているそうです。それから、プロポーズの言葉をしたためた手紙を沈めて、カップルと一緒に引き揚げるイベントとかできたらいいなぁと話していました。ものだけでなく、思いも熟成。素敵な物語ができそうだなと思いました。

(取材・撮影/さんマガ編集部)

【取材先】
「がいや酒店」
〒792-0811
愛媛県新居浜市庄内町5-11-60
TEL:0897-37-3230
営業時間:10:00~19:00
定休日:日曜
駐車場:あり(6台)
楽天ショップ:https://item.rakuten.co.jp/mikke-tazo/c/
ヤフーショップ:https://shopping.geocities.jp/iinetamatebako/sake.html