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赤石山系の基礎知識
岩稜が続く八巻山周辺
岩稜が続く八巻山周辺

 赤石山系の土台は、石鎚山系と同じく「三波川変成岩類」である。特徴として、西赤石山、東赤石山周辺にのみ、マグマが冷えて固まった「カクセン(角閃)岩」や「カンラン(橄欖)岩」が分布して、それらを下から包むように三波川変成岩類が広がっていることが挙げられる。マグマ由来のカクセン岩やカンラン岩の存在は、この周辺で大規模な地殻変動があったことを裏付けている。現在、東赤石山の稜線には露出したカンラン岩が連なり、ゴツゴツとした岩稜が続く独特の景観が広がっている。
 また、激しい地殻変動や高熱による岩石の変成が顕著で、ルビーなど約70種類の希少な鉱物が産出されていた。特に別子銅山では、巨大な鉱脈が発見された(別子鉱床)。他方、薪として多くの木々の伐採も進み、山の姿は大きく変容してきた。

 気温のデータは、昭和39(1964)年から44(1969)年、銅山峰の角石原(1100m付近)で観測された平均値が残っている。8月の平均気温は20.8℃、2月は-1.6℃。あくまで参考程度だが、石鎚山測候所の8月の平均気温14.44℃(1946年)と比べて、過ごしやすい高原性気候といえるだろう。ただし、山頂付近は石鎚山と同様に、冬になると積雪が見られる。
 また、夏には瀬戸内海で大量に発生する水蒸気が、山脈にあたって急上昇するため、昼間でも霧が発生することが多い。 海岸線から急激に高度を上げる、その地形などが引き起こす気象現象に「やまじ風」が挙げられる。やまじ風は、春や秋に南から山を越えて吹き降ろす強風で、山形県の「清川だし」や岡山県の「広戸風」と並び、日本三大局地風の一つにも数えられている。この風は、時に台風並みの威力で農作物などに被害を与える。近年ではやまじ風の発生が予想される場合、松山地方気象台がその時間帯と強さを示して注意喚起の情報提供を行っている。

アケボノツツジに彩られる斜面
アケボノツツジに彩られる斜面

 赤石山系は石鎚山系と同様に植物の垂直分布が見られるが、山頂付近の植生は主な山ごとに異なっている。5月になると銅山越では、ツガザクラなどの高山性植物が広がる。西赤石山の北側では、アケボノツツジの群落が斜面をピンク色に染める。
 赤石山系の主峰・東赤石山は栄養に乏しいカンラン岩質のため、植生が明らかに異なり、高山性植物のなかにオトメシャジンなどの固有種が混ざってくる。6~7月になるとそれらが南斜面を飾り、登山者の目を楽しませてくれる。また、東赤石山のさらに東にある二ッ岳には、石鎚山系に見られるようなブナ林が広がっている。赤石山系は石鎚山系より山塊が小さく、標高も低いが、花の種類が多く、変化に富む点から登山者に愛されている。

赤石山系を代表する3種類の花。左より「銅山イチゴ」とも呼ばれるアカモノ。西赤石山に多いアケボノツツジ(中央)。群落が見られるツガザクラ(右)赤石山系を代表する3種類の花。左より「銅山イチゴ」とも呼ばれるアカモノ。西赤石山に多いアケボノツツジ(中央)。群落が見られるツガザクラ(右)

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