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市×高校生×アーティストでまちづくり
「18っ祭!」が描いた四国中央市の新ビジョン

2023.03.31

春の陽気となった3月5日(日)、四国中央市で行われたフレッシュでパワーみなぎるイベントに行ってきました。

その名も「18っ祭!」。市と地元高校生が企画、半年かけて準備を重ねてきたというこのイベントが、一体どんな熱気だったのか。

このレポートからもぜひ感じていただけたらと思います!

▲「18っ祭!」のおしゃれなチラシ

”新成人”となった市と高校生によるまちづくり!

2004年の「平成の大合併」によって、2市1町1村が合わさって生まれた四国中央市。

昨年、市政誕生から18年を迎え、地域の歴史や文化を大切にしながら、四国中央市として独自の価値創造を目指したシティプロモーションが構想されてきました。

その取り組みとして、早くも一つの形となったのが今回のイベント「18っ祭!」です。

企画・運営を担ったのは、なんと今年この町から巣立つ18歳の高校3年生たち。四国中央市を中心に、複数の高校から生徒たちが集まり、地域の魅力の掘り起こしからイベントの運営まで、市や民間と協働しながら行ってきたそうです。

市政18年を超えた四国中央市(来年はハタチ!)と、新成人となった18歳の高校生たちが一緒になってまちづくり。なんて素敵な掛け合わせでしょうか!

さらに、そこに国内外で活躍するアーティストたちが加わり、まさに四国中央市の新しい側面が発信されるイベントになっていたように感じます。

▲10時から市役所ロビーで行われた「18っ祭!」開会式典。「市内外の多くの人たちに、この町の良さを伝えたい。このイベントが未来のスタートとなり受け継がれていくことを願うと共に、新成人として自分達の足で立ち、未来を作っていきたい」と高校生たちが力強く挨拶。
▲この日のために制作された水引アートを前に、「市政20周年を迎えるにあたり、イベントを通じてインパクトのある明るい市にしていきたい」と市長。
▲現代美術アーティストかつ僧侶でもある、風間天心さんによる作品「むすひのくに」(市役所本庁舎1階北側に展示)。海(ブルー)、山(グリーン)、まち(オレンジ)の市章を表現した3色を結びあわせた水引を飾って完成!

高校生たちの感性が光るプログラム

イベント会場は、市役所を中心に、愛媛銀行、愛媛信用金庫、コスモステレビなど周辺エリアとも連携し設営されていました。ほどよい距離感でいろいろ見て回れる楽しさが会場を盛り上げ、来場者は約3,000人にものぼりました。

▲地域の人気店が50店舗以上集まったマルシェエリア。開始早々あっという間に行列が。
▲屋外スペースではダンスやライブなどのパフォーマンス。
▲市役所交流棟2階では、高校生バンド「MOYASHI」のライブに、
▲川之江高校演劇部による演劇、
▲東予理容美容専門学校のみなさんによるメイクのお披露目会も。
▲もちろん、MCを務めるのも高校生たちです!

高校生たちの感性を活かして作り上げてきたイベントであることが、いたる所で伝わってきます。時に照れくさそうな、でも時に堂々とした姿が、フレッシュな地域の魅力をそのまま表現しているように感じました。

価値観をぶっこわせ!おしゃれをもっと楽しみたい

さて、「18っ祭!」の見どころは他にもたくさんあったのですが、ここからは2つ、四国中央市がこれからどんなまちづくりをしていくのか、イベントを通じて示されたビジョンについてお伝えしたいと思います。

まず一つ目は、チラシに描かれた女の子に注目です。

サイドを刈り上げ、ポケットに手を突っ込み、ちょっと尖った存在感を放つ女の子。このアイコンは、高校生たちの「この町でもっとおしゃれを楽しみたい!」という切実な想いが表現されたもの。

イラストを手がけたのは、アーティスト鷲尾 友公さん。高校生たちとの率直な交流、やりとりを通じてこのアイコンが誕生したといい、鷲尾さんは、

「縛られたルールを壊していくような、若くて勢いのあるパワーを表現した。この町にまた戻ってきたいと思える、そんな良さを伝えられるようになると嬉しい」と話してくださいました。

▲名古屋を拠点に、グラフィックデザインやイラスト、アート活動を行う鷲尾さん。

地域の未来を刻む、”NEO祭囃子”

もう一つ、この日、初めて四国中央市のビジョンマップがお披露目となりました。

地域の目指す未来を描き出すアニメーションは、高校生たちとの意見交換をもとに鷲尾さんがイラスト、音楽家・コンポーザーのnabeLTDさんが楽曲を制作。

楽曲には、四国中央市の伝統文化である和太鼓や鐘、手漉き和紙をひく音などが取り入れられ、「これは、この町の”NEO祭囃子”」とnabeLTDさんは話します。

「NEOとは、「新しい」や「再生」を意味する言葉。僕は新潟出身ですが、どことなく自分の地元とも似ているんです。”何もない”とよく言うけれど、だからこそ”何でもできる”。こういうまちづくりができるのは素晴らしいことだと思います」

▲注目のVision Mapはこちらから!線が伸びやかに走り、四国中央市に根付く伝統や自然から、少しずつ暮らしや産業が発展していく様子が描き出されています。
▲右から、鷲尾さん、寺尾桜さん(高校生)、nabeLTDさん、新田心春さん(高校生)、風間天心さん。高校生の二人は、アーティストたちとのやりとりは「みなさん気さくですごく話しやすかった!」と和気藹々だったと教えてくれました。

次の世代に受け継がれるイベントへ

▲閉会式では、中心メンバーだった3年生が「これからもこのイベントを受け継いでいってほしい」と挨拶。「18っ祭!」のアイコンが描かれたTシャツが、バトンがわりに2年生へと手渡されました。
▲中心的役割を担った新田さんと寺尾さんは春からこの町を離れるそう。でも「いずれまたここに戻ってきたい!」と笑顔で話してくれました。

さあ、生まれたばかりの「18っ祭!」は、これからが本番です。

春から、それぞれの道を歩み始める高校生たち。彼らにとって、いつか「このイベントがあるからまた地元に戻りたい」と思うような、そんな”祭り”になっていったら最高です。

ひとまず、初年度の大役を果たした彼らには、心の底から大喝采しかありません。
彼らの想いを受け継いだ今後の「18っ祭!」、地域全体で見守り、育てていきたいですね!

楽しい時間をありがとうございました。

最後は胴上げだ!

<取材協力>
四国中央市市役所 政策推進課みらい創造室
Tel:0896-28-6005 Fax:0896-28-6057

(取材・撮影 高田ともみ)