MAGAZINEプチさんマガ

大自然の一片に触れた「新生盆栽展」
盆栽のディープな世界に魅せられました。

2022.02.01

こんにちは、プチさんマガ編集部・チーム愛大の清水愛理です。

2021年11月28日(日)、土居文化会館(四国中央市土居町)で開催された「第13回 新生盆栽展」(11月26日~28日)に、同じくチーム愛大の川上和月さんと行ってきました。

▲写真右が川上さん、左が私です

苔好きが高じて、盆栽を育てたことはあるが、結局盆栽を枯らしてしまった経験のある私。当時は盆栽自体にそこまで深い関心を持っていなかったため、「枯れちゃった」としか思っていませんでしたが、「新生盆栽展」を見て「盆栽って素晴らしい!」と深い魅力に気付きました。ここからはその様子についてレポートをしていきます。

盆栽の女王・五葉松の産地である土居町

土居町は、全国の愛好者に親しまれている赤石五葉松の産地として有名です。
赤石五葉松は、葉が鮮やかな緑色で、幹には早くから古木の様子が現れ、盆栽として理想の性質をもち、また姿形が優雅で美しいことから盆栽の女王と呼ばれています。

新生盆栽展は、今回が13回目の開催となる地元で親しまれている盆栽展です。過去の展示では伊予水引、着物や書道パフォーマンスなどとコラボした展示を行いました。

えひめさんさん物語のチャレンジプログラム「盆栽鑑賞ツアーと苔玉づくりとミニ盆栽体験会」(2019年11月開催)では、苔玉やミニ盆栽の制作ができるワークショップも開かれました。(今回のワークショップは新型コロナウイルスの影響を考慮して見送りとなりました)

幅広い世代が参加した盆栽がずらり

会場に入ると、まず目に入ったのは関川小学校(四国中央市土居町)五葉松クラブの作品。五葉松クラブは関川小学校のクラブ活動の1つで、赤石五葉松盆栽組合員の方が指導されているそうです。
児童たちの盆栽は「これを小学生が作ったの!?」と驚くほどのクオリティでした。

次に目に入ったのは、三島高校書道部の作品とともに飾られた盆栽。書道と盆栽、合います! 書道と盆栽が見事に調和して、互いの美しさを引き立てているようでした。

会場では、赤石五葉松盆栽組合の鈴木一郎さんに説明をお願いしました。
一点一点丁寧に、初心者向けの解説をしてもらいました。

鈴木さんには、盆栽とともに展示されている石や小物飾りの位置や内容にも意味があることや、盆栽の基本形・種類、造形などたくさんのことを教えていただきました。
特に印象に残ったのは「下から盆栽を見上げ、大樹をそこに表す」という盆栽の見方です。実際にやってみると自分が小さく感じられ、何年もの間自然界で生き抜いてきた生命の力を感じ取り、大自然が織りなすその一刻を見届けることができたように思えました。

私のお気に入りナンバーワン盆栽

盆栽展では、全国各地から集まった特別作品(盆栽はとても繊細で、会場までの移動・展示中の管理がきちんとできていないと枯れてしまう可能性があります。そうした中で特別に借りられた県内ではめったに見ることのできない作品)に加え、地元愛好家による作品など貴重なものばかりを展示。五葉松や黒松、野梅、山もみじ、かえでなど多種多様な作品が並び、作品によってさまざまな雰囲気を楽しむことができました。

その中で私の印象に残ったナンバーワン盆栽は、岸準一さんの山もみじです。

山もみじは「忌み枝」がなく、冬に落葉し細く分かれた枝先が見どころ。これをきれいにするためには芽摘みや葉切りなどたくさんの手間がかかるそうです。岸さんの山もみじは細く分かれた枝先がとても美しく、たくさんの時間をかけて剪定(せんてい)していることが作品からも感じ取れました。

岸さんいわく、「朝と晩に芽摘みをしたり、日が当たるよう鉢の向きを変えたりしている」そうです。手入れについて教えてくださる岸さんの目は、まるでわが子を見つめるような目で、盆栽に対する愛を感じました。

▲岸さんの作品の後方にある虎の絵は、鈴木さんの作品です。

鈴木さんは「若い人に盆栽の種をまいて、今まで続いた伝統を次世代につなげていかなければならない」と話してくださいました。この盆栽展を通して、盆栽の魅力に触れ、作品を作ること、鑑賞することの楽しさを体感できた身として、鈴木さんのおっしゃることは本当にそうだと思いましたし、私自身盆栽をやってみたくなりました。

自分も始めてみようかな・・

盆栽とは、「生きていることのすばらしさと、生きていくことの難しさを教えてくれる友である」

これは「新生盆栽展」展示会開催実行委員会の委員長・日野勉さんの言葉です。この一言に盆栽の魅力が凝縮されています。奥が深く、さまざまな解釈ができる言葉だと感じました。

日野さんが講師をしている「誰でも楽しめる盆栽講座」(例年四国中央市の生きがい講座として土居文化会館で6月~2月に開催。「広報四国中央5月号」で詳細を掲載)も興味がでてきました。

盆栽の魅力に触れ、大自然の一部になれた素晴らしい1日になりました。来年の開催も楽しみです。

▲日野さんと記念撮影

【今回の取材先】

「新生盆栽展」展示会開催実行委員会

お問い合わせ:鈴木(090-6288-2862)