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四国中央で採れるフレッシュで美味しい「黒い宝石」

2023.03.15

四国中央の山間部で密かに宝石が採れるらしい。その真相を確かめるべく現場に急行しました。

まずは法皇山脈の麓にあるその会社の事務所に到着。そこから車で山を登ると何かの施設が見えてきました。中に入ると大きい水槽がいくつもあり、ジャバジャバ音がします。な、なんと魚がっ。その魚はチョウザメ。別名キャビアフィッシュと呼ばれています。そう、宝石の正体はキャビアだったのです!!!

キレイな湧き水の有効活用に

法皇山脈から湧き出るとってもキレイな水。農業用水として活用されていますが、この豊富な水をもっと有効活用できないかと、チョウザメの養殖を思いついたそうです。湧き水はキレイなだけでなく、水温も1年を通して13~20度と安定。チョウザメ育成に適した環境が整っていました。

いざ養殖場に潜入

2007年から養殖スタート。今は中央道路から分社化した「アフレル株式会社」が養殖から販売まで行っています。毎年1,000匹ずつの稚魚を購入して、今は4,000匹を飼育しています。水槽は12面あり、貯水量は合計450トンあります。

▲水槽がいっぱい

チョウザメは、2~3年で雌雄の判別を行います。雄は食肉用に加工。雌は引き続き飼育され、5年で成魚に、6~8年で卵を持つようになります。

▲飼育を始めて1年くらいのチョウザメ

飼育で大切なのは水の管理。フンなどで水が汚れていないか、空気濃度が適切かなど、なるべく自然に近い状態でチョウザメにストレスをかけないようすごく気を使っていています。養殖に使った水は浄化して排水。周りの生態系に影響を及ぼしてはいけないという配慮です。

▲チョウザメの育成状況によってエサも変える

頃合いになると1匹ずつ検卵棒という太い針みたいなものをお腹に刺して卵ができているかどうかを調べます。その後、成熟したタイミングで採卵作業を行います。卵ができるタイミングは個体によって違っていますが、だいだい夏から冬の間だそうです。チョウザメにはマイクロチップが埋め込まれていて、育成状況をコンピューター管理できるようにしています。ハイテク!!

▲大きく育ったチョウザメ

いざ、採卵!!まずは養殖場で締めて氷漬けにして加工場まで運びます。そして、お腹を割って卵を取り出し、塩漬けして完成です。保存は冷凍庫で行います。

プロも認める「法皇キャビア」

四国中央を見守る法皇山脈からの恩恵を受け育まれたことから「法皇キャビア」と名付けました。

輸入品は長期保存のため、塩漬けにして熱殺菌をしています。対して「法皇キャビア」は塩分を3%と超控えめにして、熱処理もしません。“フレッシュキャビア”だからこそ濃厚でクリーミー、かつ、臭みのない味わいになるのだというのです。その味わいが評価されて、食のプロが審査するコンクール「料理王国100選」に2020年と2023年の2回も選ばれました。プロからは従来のキャビアのイメージが一変するほどの味わいという意見も貰ったそうです。

▲20g入り8,640円
▲キャビアを使ったお料理!!

法皇キャビアはフレンチやイタリアンなどのレストランに販売しています。ECサイトで直接購入もできます。ふるさと納税の返礼品にもなっているのでお家でパーティーをする時などにいいかも。

チョウザメも美味しいんです!

ヨーロッパや中国ではチョウザメの身肉も高級食材として重宝されています。高タンパク・低脂肪・低カロリーで、豊富な栄養素を持っているすごい食材。癖がなく淡白な味わいで色んな料理に合うそうです。日本では、プロのシェフを中心に注目され始めています。雄はレストランがほしいタイミングで出荷できるので、鮮魚として出荷します。雌はキャビアの商品化が優先されるので、味付けをして加工品として販売しています。

▲身肉も美味しそう

いいものを作り続けたい

コンクールで評価されたり、全国のシェフから注文がきたりして、すっかり養殖技術を確立したご様子かと思いきや、「まだまだ発展途上。毎年試行錯誤を続けています。支持してくれる人の期待を裏切らないよう良い商品を作り続けたい」とのこと。法皇キャビアは、法皇山脈の恵みと関わる人の溢れる情熱が合わさった奇跡の結晶なのだと感じました。

あ、知ってます?チョウザメはサメ科じゃないんです!チョウザメ科の古代魚、淡水魚です!!世界三大珍味の一つキャビアはその見た目と希少さから「黒い宝石」と呼ばれるようになったそうです。

(取材・撮影/さんマガ編集部)

【取材先】
「アフレル」
〒799-0112
愛媛県四国中央市金生町山田井818-1
TEL:0896-22-3675
https://afrel-web.com/
https://shop.afrel-foods.com/