MAGAZINEプチさんマガ

パン、ツアー、炊き込みご飯!
出汁だけじゃないいりこの可能性を発信する「いりこ倶楽部」

2023.03.05

「いりこいりこいりこ~♪ いりこを食べると~♪ しこちゅしこちゅしこちゅう~♪ しこちゅうが好きになる~♪♪」
ということで、四国中央の特産品「いりこ」を通じて地域の魅力を発信したり、地域活性化に向けた取り組みを行っているNPO法人いりこ倶楽部さんにお話を伺いました。

新たな特産品!?「いりこ酵母パン」

“まずは最新のニュースです。1月未明、いりこ倶楽部が「いりこ酵母」を使ったパンを開発しました。四国中央市内の2つの福祉施設が製造と販売を行います。両施設の店舗のほか、市庁舎市民交流等の売店で販売されている模様です。関係当局は引き続き動向を追うものとみられます。”

▲ロゴマーク

そうなのです!前人未踏の「いりこ酵母パン」が誕生しました。コロナでこれまでの活動(後でご紹介しますね)が制限。今できること、そしてこれまでよりも多くの人が興味を持ってもらえることはなんだろうと考え思いついたのが「いりこ酵母パン」でした。

四国中央産いりこに麹と水を混ぜて発酵させ、できた特製エキスを「いりこ酵母」と名付けました。試作でとても美味しくできたので商品化することに。パンを製造販売している障がい者支援施設に依頼して実現しました。

▲ベーグル
▲塩パン

パンは2種類。両方とも、いりこの「うま味」と麹の「甘味」が重なり合う、これまでにない味わいだそうです。パン工房「ともむぎ」(土居町小林1785-1)がベーグルを、「ゆーみん」(川之江町2472-1)が塩パンを担当。価格はベーグルが1個200円、塩パンが5個入りで200円。それぞれのお店で買えるほか、市庁舎にある障害者福祉事業所協働販売スペース「だんだん」では両方のパンが扱われます(いずれも水曜と第2・4金曜に販売)。

これから「いりこ酵母」を市内にどんどん広めたい考えで、使ってみたい人がいればレシピを教えたいそうです。

いりこで地域活性化を、いりこ倶楽部誕生

そんな面白いパンを企画したいりこ倶楽部さん。2011年から活動を始めました。最初は理事長の山川かずこさんを含め3人でした。NPO法人になった2013年には6人に増え、今は16人の会員がいます。皆さん思いや活動に賛同して入会するそうで、県外のメンバーもいます。

▲リモート参加者もいる例会の様子

いりこと言えば、四国中央のお隣、香川県観音寺市の伊吹島産いりこが全国的に有名です。でも四国中央で獲れるいりこも伊吹島と同じ燧灘で育ったもの。とっても品質が良いのです。にも関わらず、特に若い人たちにはあまり知られていない・・・。昔から生活の中で大きな役割を果たしてきたいりこのことを知ってもらい、地域を誇りに思ってほしいという気持ちが活動のきっかけでした。

いりこ三昧の体験ツアー

最初に取り組んだのは体験ツアー「いりことお酒のざんまい日和」。大人の修学旅行がテーマで、いりこの漁場の説明や加工場の見学、いりこ煎餅の製造体験のほか、周辺の歴史が学べます。いりこの試食はもちろん、いりこづくしの昼食にいりこと相性抜群の日本酒試飲&酒蔵見学と、正に三昧日和な一日になること請け合いです。

▲川之江城から望む漁場
▲おいしそうないりこ煎餅

ツアーの企画を練る際、一番の問題は費用でした。十分に魅力を伝えつつどうやったら抑えられるか、たどり着いたのはメンバーが同行することでした。メンバーは皆、それぞれの業種のプロばかり。質問されると一生懸命に説明します。アットホームな雰囲気も合わせ、心を打たれリピートする人が続出するそうです。

▲漁をする船
▲ランチの一皿

ご当地飯「いりこ飯」の復興

自分たちが自信を持って活動を続けるため、地域のいりこ文化に詳しい人たちに聞き取りをしていくうちに「いりこ飯」の存在を知ったそうです。お盆の時期になると食べられていたいりこ飯。農作業で忙しい両親の代わりに子どもが作ったいりこ飯。神事や太鼓祭りの際にはいりこにまつわる風習が今も残っていますが、環境や生活の変化でいりこ飯の存続が危ぶまれていたのです。

▲いりこ飯

そこで聞き取りした作り方をもとに、現代風にレシピを考案。いりこ倶楽部推奨のいりこ飯レシピが出来上がりました。それを引っ提げ料理教室を開催。集まった皆でわいわい楽しくいりこ飯を作って食べます。夏休みには親子対象のイベントも実施しています。

▲子供の大人も楽しそう
▲いりこモンスター探しイベントも

いりこに留まらない地域活動

ツアーや料理教室はコロナ禍では活動を制限中。代わりに屋外でできる取り組みを実施しています。いりこの原料カタクチイワシが生息する海と、海に栄養を届ける山の環境を良くしようと、清掃活動に参加しています。さらに、子供を対象にしたランタンづくりと散歩イベントも実施。両方ともに活動を遮らない範囲でいりこにまつわる話を参加者に伝えています。

▲清掃活動
▲ランタンづくりイベント

目を凝らして見てみると東予の生活に密接に関わっているいりこ。いりこに関連した取り組みをすることで自然と地域活動や地域活性化につながると考えこれからも様々なことを企画していくそうです。「四国中央以外の人にも興味を持ってもらい、移住につながってほしい」と願っています。

(取材・撮影/さんマガ編集部)

【取材先】
「NPO法人いりこ倶楽部」
〒799-0121
愛媛県四国中央市上分町550-1
TEL:0896-56-7777