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地方から質の高いアートを「黒川遼さん」

2023.02.20
▲明るい笑顔が印象的な黒川さん

魔法が使えるようになりたかった。

インタビューが始まってすぐ、なぜマジックを始めたのですか?とお聞きしたところ、
「もてたかったから、中3ぐらいにマジックを始めたんです」と返答が……。
確かに、もてたいからバンド、もてたいからスポーツというのは、青春の1ページですよね。
なぜ数ある選択肢の中から、マジックを選んだのか尋ねると、
「魔法を使えるようになりたくて、マジックをやってみようと思ったんです。」という答えが返ってきました。
魔法を使いたかった少年時代、最初にやったマジックはテーブルマジック。
その後、黒川さんは新居浜高専で「奇術部」を立ち上げます。

▲黒川さんのマジックではハトもでてくる!

高専時代から独立まで

高専生時代、黒川さんは、全国大会などのコンテストに参加していました。
全国大会に出るには、オリジナリティや技術などが必要になります。
当時の黒川さんは、オリジナリティは認められていたものの、技術が足りていなかったそう。
社会人になり、転職を経てリクルートに就職。
成績も優秀で順風満帆だったそうですが、ふと会社を見た時に、働き方改革で会社の状態が良くなった影響で、上の人たちが残り始めたのだそう。
それは良いことではあるものの、上に行くには時間がどうしてもかかるなと思った黒川さんは、独立することを考えたそうです。
選択肢として検討した職業の中に出てきたのが、「マジシャン」でした。
マーケティングを見て、ギャラなどを研究して「これはいける!」と思い、最終的にプロのマジシャンとして独立を決意したそうです。
独立後はたくさんの方に、誰よりも楽しそうにマジックをしているという言葉をもらいました。
とにかく、誰も見たことのないマジックをしたいと思っていたそうです。

▲黒川さんのマジックショーはパワーがあり元気になる。

名作文学×マジック×演劇「おとぎと魔法の劇場」を立ち上げる

黒川さんが独立してすぐに、新型コロナウイルスが蔓延しました。
その時にいろんな人の話を聞いたことで、小学校の芸術鑑賞会に向けた「マジック×演劇」を立ち上げることを思いついたそうです。
コロナ禍の前は、四国外から芸術鑑賞会のためにプロの団体がやってきていました。しかしコロナになったため、県外からの芸術団体が来られなくなり、子どもたちが芸術から遠ざかっている状態でした。
黒川さんは、いま地方から質の高いアートを発信することは、いまの子どもたちだけでなく、未来の子どもたちにとっても希望になるのではないか?と考えているそうです。
もともと、マジックで地域の課題を解決したいと思っていた黒川さんには、ぴったりのアイデアでした。

▲チラシからも楽しそうな雰囲気が伝わってくる。

演劇に携わることが初めてだったため、最初は本当に大変だったそうです。
同じステージに立つアートでも「マジック」と「俳優」は求められるものが違ったのだとか。
しかし、何十公演も経て、現在は本当に楽しくできているそうです。
演劇を一緒にやっている仲間から、「エンターテインメントにおける課題を解決するには、自分の引き出しから出すしかない」と言われたことで、マジックへの取り組み方も変わったのだとか。
「引き出しを増やす、武器を増やすために、技術を磨いているところです」

コロナになり、子どもたちの為にと思った演劇活動が、実は自分に返ってきていたのだなと聞いていて感じました。

今とこれから・・・

黒川さんは、2022年演劇に携わってみて、「祝祭性」を考えるようになったそうです。祝祭性とは、気分を高めて何かのお祝いをすること。
”黒川さんに会うと、みんなが元気になる。
良いエネルギーを届けられて、いやな思いをする人がいない。”

新居浜で小さいころから「太鼓祭り」に関わってきた自分たちには、それができるのではないか?と黒川さんは思ったそうです。

現在は演劇の時だけでなく、マジックショーの時も、相手の様子を見ながら一言一言にエネルギーを込めることにしたのだと、話されていました。

マジックショーの時には、新居浜太鼓祭りの時期に香る、金木犀の香水をつけて自分の気持ちも高めているそうですよ。

幼いころにエネルギーを感じたことが、大人になって活きてくる。

「おとぎと魔法の劇場」は、新居浜の小学校や岡山の図書館での公演も決まっているそうです。

ぜひ一度黒川さんにエネルギーをもらいに行ってみてください!

【連絡先】
【メールアドレス】 info@kurokawaryo.com
【 W e b サ イト 】 http://kurokawaryo.com/otogi/
(取材:富永 写真/黒川遼)