MAGAZINEプチさんマガ

作って、知って、環境に人に優しくなれるマルヤスのアートキット

2023.03.02

樹脂製造装置メーカーのマルヤスさんが、一般向けの商品を作りました。作って楽しいだけでなく、親子でこれからの社会のことを語りあえる、知れば知るほど奥が深いキット商品です。

オレ流の樹脂製品の製造装置を作る

マルヤスさんは国領川の近く、11号沿いのマルナカさんの向いにあります。樹脂を成形する装置を製造する会社で、お客さんの困りごとを解決する独創的な “オレ流の開発”をしています。

▲オレ流の看板が目印
▲原料をきれいに混ぜる装置「まぜコン」

樹脂原料の再生装置が表彰

樹脂(プラスチック)製品は、昨今いわれている環境保全の取り組みの観点から厳しい立場にあります。でも樹脂製品は私たちの生活になくてならないもの。なくさないためにもメーカーさんたちは何とか環境に良い製品が作れないか、製造方法がないかと悪戦苦闘しています。その一つが製造過程でどうしても発生する端材の活用法です。また原料のもとになる石油は値段の動きが激しく、原料費を抑えるのも課題の1つでした。

そこでマルヤスさんは、原料であるペレットの再生装置を開発しました。これは、フィルム製造に使うもので、フィルムを製品に仕上げる際に両端を切り取ってきれいにするのですが、その端材をフィルムのペレットに再生する装置なのです。他社も再生装置を作っていますが、マルヤスさんの装置は一味違います。品質を落とす原因となる熱を加えず、捻って圧縮して作る独自の製法により、もとの原料と混ぜるときに品質劣化なく使えることが可能になりました。

2021年に、性能が飛躍的に向上した第2世代の「ecoペレGP2」が誕生しました。このGP2が2023年2月にCO2排出削減に効果的な機器などに贈られる「優秀省エネ脱炭素機器・システム表彰」で産業技術環境局局長賞に輝きました。

▲eco ペレ GP2
▲表彰状と楯

とことんこだわるオレ流の開発

そんなエコなGP2ですが、ちょっとだけ気がかりなことが。起動直後にほんの少しだけ再生ペレットにならず紐状になってしまうというのです。はたから見ると何も問題ではないと思うところですが、オレ流のマルヤスさんは納得いきません。捨てるものを少しでもなくしたい。紐状になるのなら紐として使えばいいじゃないかと、新しい商品を思いつきました。

端材から生まれた「遊ぼテープ」

よく似た形状の手芸用テープとして商品化。その名も「遊ぼテープ」です。GP2で、捻じらず圧縮すればテープ状になります。今は再生原料を混ぜて作っていますが、100%端材で作れるようにして、フィルムメーカーにも作ってもらうよう提案するつもりだそうです。

幅は5mmと10mmの2種類、カラーラインナップは青、緑、紫、薄茶、白、黒と6種類。色はどんどん増やしていく予定です。価格は幅5mmが1,210円、幅10mmが1,430円。1個当たりの長さはどちらも30mです。

▲結構カラフル!!

手芸用テープは荷造り用のPPバンド、紙テープが主流。それぞれ、硬くて怪我しやすい、濡れたらダメになるという弱点がありますが、遊ぼテープならその両方を克服できます。
かご、カバン、コースター、プランターハンガー、ぬいぐるみの帽子などなど、色んなものが作れます。

▲バッグ
▲かご
▲プランターハンガー

子どもも大人も楽しめる「車輪アート」

手芸好きな人には伝わるけど、そうじゃない人にも遊ぼテープを広めたい。だったら決まったものが作れるキット化だということで「車輪アート」を発売しました。

三輪車のオブジェを作るキットで、骨組みとなる木材に連結パーツ、屋久島の木の枝、遊ぼテープなどが入っています。

▲中身はどんなだろう
▲材料は余分目に入ってます

説明書通りに作ると出来上がります。子どもでも作れるように、あえて簡素にしました。そして大人や器用な子には色んなアレンジをして、思い思いの形にしてほしい。そうした願いを「車輪アート」の名に込めたそうです。

親子でこれからの社会を話し合えるキット

そういえば、キットの中に屋久島の木が??気になるところです。
実は車輪アートをデザインしたマルヤス代表の野村さんは目が見えません。ペレット再生装置の開発を始めた2004年頃に片目の光を失いました。そして2012年にはもう片方も・・・。それでも諦めず、GP2を完成させたのは「へこたれないパワー」があったからだそうです。そして屋久島は日本屈指のパワースポット。車輪アートには2つのパワーが込められています。

一見、可愛らしいだけのオブジェに見えますが、樹脂のロスをなくす「環境のこと」、盲目でもへこたれず活躍できる「障がい者のこと」、そして屋久島をきっかけにした「歴史のこと」と、これから私たちが生活するうえで考えないといけないことが詰まっています。お子さんがいる人はぜひ一緒に作って、これらのことも語り合ってみてください。

商品はオンラインショップ「マリーノ」と新居浜市ふるさと納税で取り扱っています。3,000円です。

▲頑張って作ってみましょう

(取材・撮影/さんマガ編集部)

【取材先】
「株式会社 マルヤス」
〒792-0823
愛媛県新居浜市外山町16-32
TEL:0897-47-6010
https://e-maruyasu.jp/
オンラインショップ「マリーノ」https://e-marino.shop-pro.jp/