MAGAZINEプチさんマガ

360度絶景!
工都・新居浜の離島でシーカヤック体験。

2021.09.07

新居浜といえば工業都市。沿岸地帯には工場群が立ち並ぶ中、「新居浜シーカヤック」と聞いても、どこかピンとこず。「どんなところでするの?」「どんな景色が広がっているの?」と少しドキドキ、そしてワクワク。
そんな気持ちで7月26日、チャレンジプログラム「新居浜シーカヤック」を体験取材してきました。

新居浜の離島「大島」で、変化に富む海を楽しむ

集合場所は、新居浜市の東の端っこにある荷内町の「荷内海岸」。
県道13号線を四国中央市方面へ向かって車を走らせていくと、「こんな場所があったんだ」という海岸沿いに出てきました。
目的地付近まで来たところで、今回ガイドしてくださるアウトドアインストラクターの白石悠さんに電話し、道案内してもらいます。

導かれるままに細い道を抜けると、カヤックを乗せた車と白石さんを発見!

そして目の前に広がる真っ青な海! 一気にテンションが上がって車外に出た途端、むわっとする空気。ジリジリと照りつける太陽。体感温度はもはや40度超えで、「暑っつ!」と思わず声が漏れます。

でもそこには、白石さんの笑顔と、青い空に青い海。
そして浜辺にはカラフルなシーカヤックがスタンバイ。すべてに大歓迎された気分でした。

逸る気持ちをおさえて、まずは、白石さんにプログラム内容を教えていただきました。

「新居浜の大島を中心に、誰でも楽しめるシーカヤックプログラムです。参加者のレベルに合わせたルートを巡りますから、初心者でも安心ですよ。なぜ大島でやっているかというと、えひめさんさん物語のエリア3市のうち、大島は唯一の離島なんです。新居浜には続々と工場ができている中、豊かな自然が残る“オアシス”。しかも、ここ南の海岸から大島までの距離は、わずか1.5キロ。シーカヤックで行っても30分ほどでオアシスに行けちゃうんです」

▲新居浜市の北東約1.5キロ沖にある大島

人口約170人、周囲約10キロの大島は、シーカヤックで一周しても3時間ほどなんだそう。そして、大島でシーカヤックをする魅力は、それだけではない、と白石さんは語ります。

「瀬戸内海も魅力のひとつです。なかでも大島は、瀬戸内海随一の海洋環境なんです。大きな流れはありませんが、細やかな変化が楽しめます。干潮・満潮によって川のような流れになるところもあれば、波風もなく湖畔のように穏やかな海が広がっているところもある。ゆったり遊べるので初心者にはもちろん、海で遊び慣れている人にとっても、変化に富んでいるのでさまざまな楽しみがあると思いますよ」

海の状況が刻々と変化しやすいのが大島の海の特長。一方で、台風でも荒れることは少なく、前日が大荒れだったとしても、翌日には不思議と回復していることが多いのだとか。

えひめさんさん物語を機に、市内外へ届く感動体験

新居浜生まれ、新居浜育ちの白石さん。シーカヤックツアー用の事務所をどこかに構えているわけではなく、ここから車で10分ほどのご自宅に、2人艇など多種多様なカヤックと道具すべてを保管されているそう。そのカヤック数はなんと15艇!

「えひめさんさん物語がスタートするまでは、特にお客さんを集めてツアープログラムを実施していなかったんです。だから、えひめさんさん物語をきっかけに始めることができたツアーとも言えますね」

チャレンジプログラムとしてはじめた2019年の初年度以降、市内はもちろん、関東や近畿方面からの参加者も多いとか。

「市内の人には『新居浜でもこんな体験ができるなんて』と驚かれ、市外の人には『海がこんなにも穏やかとは思わなかった』と感激されるんです」

ますます早くカヤックに乗って、大島に行きたくなってきました!
ということで、早速、ライフジャケットを装着し、カヤックとパドルの操作方法のレクチャーから。

今回使用するカヤックは、シットオン・トップカヤックという種類。 艇が幅広く設計されているため、カヤックの中でも転覆しにくい特長があるそう。シットオンというように、船体の上に座るタイプのカヤックで、 シーカヤックのように下半身が固定されず、自由に身動きがとれます。

パドルは、肩幅程度の位置で握ります。パドルの中心を頭の上にのせたときに、両方のひじの角度が90度になるような間隔で持つのがちょうどいいバランスなのだそう。前進する、バックする、ブレーキをかける、左や右へ方向を変えるなど、パドルの操作方法の基本を教わります。

「ポイントは、腕で漕ぐのではなく、腰のひねりで漕ぐようにすること。そうすると楽に漕げますよ」

この基本さえ押さえておけば、初心者でも子どもでも楽しめるのがシーカヤックの魅力なのだとか。
よし、準備は整いました。次はいよいよ乗船です!

青のグラデーションの世界に包まれて

いざ、乗船!
カヤックに乗って、まずパドルの持ち幅を確認中。

白石さんがスーッと進んでいく姿を追って、見よう見まねで大島へ向かって漕ぎ進めます。パドル1かきで進む距離の白石さんとの差、私が漕ぐぎこちなさはあるものの、思った以上に軽い力で進んで行きます。それに、意外と方向操作も簡単。初心者や子どもでも楽しめるツアーというのも、納得です。

自然あふれる大島のすぐそばを、ぐるりと進んでいきます。

かなたには、新居浜市の工場群と四国中央市の製紙工場群も見えます。
調子付いてきたところで、白石さんに「“舟かくし”に行ってみましょう」と誘われ、二人で向かうことに。

舟かくしとは、南北朝時代から戦国時代まで瀬戸内海で活動した村上海賊が、軍船を隠していたとされる場所。干潮時に見ることができる入り江です。

「死角になっているので、追っ手からすると急に舟が消えたように見えるんですよ」

そう言われて、シーカヤックで入り江に入ってみて納得。まさに死角になる、とっても面白いエリアでした。

舟かくしから、再び広い海へ向けて出航! しばし漂います。

間違いなくジリジリ降り注ぐ日差しを浴びているのに、なぜでしょう。
全然暑くない。むしろ涼しく感じるから不思議です。
海と空と雲の青〜白のグラデーションの世界に包まれているからかな。

あーなんて気持ちがいいの。そして、この目線で海を眺め続けていることも、とっても新鮮。まるで自分が海の一部になったかのよう。

「あ、エイ!」

不意に白石さんが指差す先を見ると、私たち二人のカヤックの下を悠々と泳ぐ大きなエイ!
あまりに突然で、感動してしまって、写真に取り損ねたのが悔やまれます。運が良ければ、なんと体長2メートルほどもあるスナメリにも会えるんだとか! 会いたい!!!

今回は会えませんでしたが、過去の写真がこちら!

▲スナメリ(白石さん写真提供)

いつか会ってみたいです。

大の生き物好きによるガイドも魅力

実は白石さん、大の生き物好き。幼少期から、読書といえば「図鑑」だったんだとか。現在は生き物の生態をベースにアドバイスをする「養殖コンサルタント」としてもご活躍中です。

「どんな生き物でも、聞かれたら何でも答えられると思いますよ(笑)。危険な生き物を心配して過度に身構える必要はありません。危険生物だって、適切に対処すればちっとも怖くないですから、安心してください」

そんな大の生き物好きのガイドでシーカヤックを楽しめるのも、このプログラムならではの魅力。ちなみに、カヤックから海釣りができる、カヤックフィッシングツアーも開催中です。

「大島の海にはたくさんの生き物がいます。今の時期(当時は夏)なら、マダイ、アコウ、白ギスが釣れます。秋にかけてはいろいろな魚が狙えます。クーラーも積めますので、釣った魚を持ち帰ることもできますよ」

ツアーでは、魚群探知機を装着し、魚の居場所を追いかけながら釣りをするそう。釣り好きにはたまらないツアーですね。

「自然環境を考え、守る、きっかけになりたい」

最後に、このプログラムを企画されている想いを教えてくださいました。

「新居浜は工業都市ですが、その中にもまだすてきな自然が残っています。大島に限らず、地域にある自然を見つけて、自然に身を起き、自然と戯れてほしいです。それが、自然環境を考えたり守ったりするきっかけになると思うんです。僕はそのお手伝いがしたい。この新居浜シーカヤックが、その一つのきっかけとなればうれしいです」

工都・新居浜にも、確かに存在する豊かな自然。そんな自然と戯れる場を提供している「新居浜シーカヤック体験」は、オールシーズン開催中。興奮も癒やしも、まるっと味わえるこのツアーに、皆さんもぜひ参加してみてくださいね。

< おまけ>

今回は取材ということで、白石さんが時間やカメラ機材に配慮してくださり、特別にボートを出してくださいました。白石さん、ありがとうございました!

(取材・文:高橋陽子、写真:大西未央、高橋陽子)


【今回の取材先】 
チャレンジプログラム「新居浜シーカヤック体験
日程:開催中(要予約)
場所:新居大島
定員:1回につき6名まで(6名を超える場合は、予約時に要相談)
参加費:
・新居大島シーカヤック体験(約2時間半)
 シットオントップカヤック
 1人艇:5,500円/1名
 2人艇:10,400円/2名
 幼児(4歳未満)1,000円/1名
 シーカヤック
 1人艇:6,400円/1名
 2人艇:11,200円/2名

・サンセットツアー(約2時間)
 1人艇:5,500円/1名(子ども料金あり)

・カヤックフィッシング(約2時間半)
 幼児(4歳未満)1,000円/1名
 1人艇:4,500円/1名など
 2人艇:8,200円/2名
 レンタル(魚探、竿)など+1000円

※検温、消毒により、コロナ感染対策を徹底して行います。コロナの状況によって内容は変更になることがあります。最新情報は、じゃらんホームページで発信しています。

申込先・お問い合わせ:fishcraft(白石) TEL 080-1990-9162