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自然はまるごと僕らの学校!「西条森のようちえん」でフィールドワーク

2023.03.01

2月9日(木)、気持ちの良い冬晴れとなったこの日。「西条森のようちえん」では野外活動が行われるとのことで、私も一緒に体験&参加してきました。

愛媛県各地に広がる「森のようちえん」。東予ではすでに「にいはま森のようちえん」が開園していますが、ここ西条市では、市民団体「おむすび」(代表:皆尾明子さん)が主体となって活動をしています。

私も子どもたちと一緒にお散歩するつもりで始まった取材ですが、行く先々で驚きや発見がいっぱい! 

一体どんな“冒険”となったのか、今回はその体験レポートをお届けします。

今回、野外活動の場となったのは、「伊予の三湯」と称される本谷温泉すぐそばにある、本谷公園です。

大きな池を中心に美しい日本庭園が整備され、散歩には最適の場所。今日は、さらにそのすぐそばを流れる、温泉の源流にもつながる大明神川上流を目指して歩きます。

お散歩スタート前には毎回「朝の会」を実施。参加者さん同士のごあいさつと近況報告をしているうちに、「早く川に行きたい!」と駆け出した子どもたち。

そんな彼らを追いかけるようにしてお散歩がスタートしました。

待って〜!

***

「プログラムはざっくり決めてありますが、内容は子ども次第なんです」と話すのは、この日の案内役を務めるスタッフさん。

「山登りにしても、てっぺんに行くのを目指すわけではないんです。大切なのは、子どもたちが途中で何か発見したり、体験したりすること。こうしなきゃ、というものでもないし、途中でコースを変えることもよくあります」

あくまでも主体は子どもたち。スタッフさんはじめ親御さんたちも、そんな彼らを見守りながら、「やってみたい」「見てみたい」を一緒に体験していくのが森のようちえんの活動のあり方です。

さて、私もそんな子どもたちの背中を追いかけていたら、発見や気づきがたくさんありました。ぼんやり歩いていたら見過ごしていたはずの自然の姿。それはまるで、宝物に出会ったような、嬉しくて心躍る体験だったのでした。

せっかくなので、ここでそのいくつかをお届けしましょう。

まずは本谷公園。池の中では、カエルが産卵の時期を迎えていました。

「ほら!これ見て!」と声を上げたスタッフさんのもとに駆け寄ると……

も、ものすごい数のカエルの卵たち(汗)。思ったよりでかい主のようです……。(この後、お母さんと見られる大きなカエルが水の中で眠そうにしている姿もしっかり発見)

ゼリー状のまくに包まれた卵は、微妙に色や形がちがったり。卵をじっくり観察した後、男の子は「たまご、かえしてあげる」と、同じ場所に戻してあげました。

次に子どもたちの向かう先を追いかけると、遊具のある小さな公園に出ました。
小枝を拾ったりして遊んでいたところ、あれ? これはもしや……?

ウリボウの足跡だ! 

「イノシシさんもここに遊びに来たんだねえ」。
その先には、イノシシたちが土をかき出したり、背中を擦りつけたりして遊んだあとがしっかり残っていました。

さあ、ここから先は少し上り坂。大明神川に沿って歩いて行きます。
途中、道端のオオイノフグリやホトケノザを見つけて春の気配を感じたり、

ふさふさした立派な苔玉に目を奪われたり。

「あ!きのこ!」と叫ぶ男の子の視線の先には、

ほんとだ、きのこがありました(笑)。

川のすぐそばの道では

サワガニさんとも遭遇しましたよ。

仕上げに、川べりでひとしきり石投げをして遊びました。

大人の足でスタスタ歩けば20分程度の距離だったでしょうか。

私も子どもたちと「見つけた!」を楽しんでいたら、川にたどり着く頃には大冒険をしてきたような満足感でいっぱいになっていました。そして、ひだまりの中でお弁当を広げながら、こんな当たり前のことを実感したのです。

自然ってやっぱり、まるごと学校だったんだな!

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2年前からお子さんと活動に参加するようになったというお母さんは、「子育てに対する気持ちがすごく楽になった」と話します。

「それまでは“こうしなきゃ”とか“やっちゃだめ”がすごくあったのですが、子どもがやりたいと思うことを、それができる環境の中で見守ってあげたいという気持ちに変化してきて。それが子育ての安心につながっていますね」。

人見知りだった息子さんは、今では「森のようちえんに行きたい!」と自分から話すようになったそう。

「おむすび」代表の皆尾明子さんが森のようちえん開園を決めたのは、ご自身の子育てがきっかけだったそうです。

自然のなかでのびのび育てたいと思っていたころ、先にスタートを切っていた「にいはま森のようちえん」の活動に参加。そこでの出会いに背中を押され、生活拠点のある西条で、週2回の親子活動を自主的に開催するようになりました。

「この春から、預かり保育をスタート予定。今は丹原にある野外フィールドの整地をしています。ゆくゆくは、そこに畑をつくって野菜を育てたり、小屋を立ててものづくりができるような環境を整えていきたい」。

四季の移ろいとともに変化する自然を感じながら、仲間たちとじっくりと関係を育む。そんな保育が実現できるのも、地域に豊かな自然があるからこそ。西条森のようちえんの誕生を誇らしく思うのはきっと、私だけではないでしょう。

二人目のお子さんを出産したばかりの明子さん。あくまでも、開園準備はマイペース。焦らずゆっくり進んでいきたいとほがらかに話してくれました。

さて、その「西条森のようちえん」では、2023年度春からの園児を募集中です。気になる方はぜひ親子活動に参加を。説明会なども随時行っているので、ぜひ最新情報をチェックしてみてくださいね。

森のようちえんのみなさん、ありがとうございました!

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<取材・写真/高田ともみ>