MAGAZINEプチさんマガ

大島で白いもの収穫体験にチャレンジしてみた!

2023.02.18

大島の白いもといえば、”幻の芋”として、さんマガネクストでも何度か取り上げました。
今回は10月から始まる白いもの収穫を体験したいと思い、生産者のご協力をいただくことに。
筆者が実際に島へ行き、経験したり感じたりしたことをお伝えしたいと思います。

▲まもなく、大島へ到着。

大島へ行くには、新居浜市の黒島港から15分ほどフェリーに乗ります。
このフェリーは約1時間に1本のペースで出航しており、お値段は驚きの片道60円。
車で黒島港へ向かい、港の駐車場を利用した場合はプラスで220円かかります。
往復の船代と黒島港の駐車料金を合わせて、わずか340円で大島へ足を伸ばすことができますよ。
大島へ車を乗り入れる場合は車の大きさに応じた追加料金が必要です。
島内の道路は狭く、山間部の道路では離合が難しい場所もあるので、観光目的であれば黒島港に車を置くことをおすすめします。

▲大島と黒島港を往復する船。
▲料金は片道60円。とっても安い!
▲船内の様子。

いざ、収穫

今回取材で訪問させていただいた0.4反の畑は、何列も立てられた畝(うね)に多くの白いもが植えられていました。
収穫の前作業として、あらかじめ地表にのびたツルを刈り取っていただいていたので、早速クワにもちかえて収穫作業を始めます。

▲大島の山中に広がる白イモ畑。
▲この日は暑すぎず寒すぎず、屋外作業にはうってつけの天候でした。

白いもは少しの摩擦で表面がめくれてしまうほど、薄い皮に包まれています。
そのためクワで掘る際も、芋を傷つけないよう畝の外側を削っていき、
クワを入れる角度や、土を持ち上げる際も注意しながら、白いもを探します。

▲畝の外側から土を優しく起こしてあげるイメージで掘る。難しい。

筆者は市内の耕作放棄地でサツマイモやタマネギといった作物を育てた経験があって多少は自信があったのですが、実際やってみると、芋を傷つけずに掘るのは難易度が高く、白いもを真っ二つにしてしまうことが何度かありました……。
収穫後は腰が痛くなり、翌日は立派な筋肉痛になってしまいました。

▲収穫した後は不要なツルを切って出荷できる状態に整える。
▲大きすぎる白イモは翌年の種イモに利用します。
▲収穫されたたくさんの芋たち。

収穫した芋のサイズにはばらつきがあるため、大きすぎて出荷できないものは、種イモとして翌年まで貯蔵するそうです。
また、白イモは収穫してからじっくり寝かせることで、デンプンが糖分に変わり、甘みが増すとのこと。
目安としては約1ヶ月、芋壺などで保管します。
あまりの低温になると芋が腐ってしまうため、温度を一定に保つのが大切だそうですよ。

白いもで、島の活性化を目指す。

白いもの生産者である森野嘉丈さんは、2020年に大阪府から地域おこし協力隊として新居浜市にやってこられた方です。
もともと鍼灸師やテーマパークにある遊具の保守管理などの仕事をしていましたが、愛媛県が開催していた移住フェアで、新居浜市の白いもに魅力を感じ応募されたとのこと。
現在は大島で生活しながら、白いもの栽培や特産品の開発をされているそうで、2023年は有機栽培にも挑戦したいとのこと。

▲慣れた様子で白イモの掘り起こしを進める森野さん。すごい。

大島の現状とこれから

森野さんによると今年の白いも収穫量は「まずまず」だそうですが、気になったのが何かに荒らされた様子の畝があること。
お話を伺うと、普段は害獣や侵入者防止に電気柵を張り巡らせているのですが、僅かな排水口や隙間などをねらってイノシシが侵入し、芋を掘り起こしてしまったそうです。

▲イノシシがイモを狙って荒らした跡

もともと大島にはイノシシがいなかったのですが、いつしか海を渡ってきた個体が、山に居着いてしまったのだとか。
現在は畑を荒らす害獣として、農業従事者の悩みのタネになっているそうです。
森野さんも狩猟免許を取り害獣対策などにも励んでいますが、人手不足や資金面等でなかなかハードルが高いようです。
当日も収穫作業中にイノシシが罠にかかったと地元の方から連絡を受け、現地へついていくと推定体重100キロ前後はありそうな、メスのイノシシがかかっていました。

▲突然イノシシと出会ったら……考えるだけでゾッとします。

住民票によると、現在大島では116名の方が住んでいます。(2022年の新居浜市人口調査より)
私は6年前にも大島へ訪れたことがあるのですが、その頃よりも明らかに空き家が増えていました。
当時訪問したお宅もすでに空き家になり、人口が減っているのが目に見えてわかり寂しい気持ちになりました。

愛媛県では10年ごとに離島振興計画を策定していて、ちょうど2022年が最終年度にあたる10年目、区切りのタイミングになっています。
現在、地元島民の皆さんや新居浜市が協議を続けて次の10年間に何をするか、新居大島地域振興計画が作られているとのこと。

白いもの収穫体験を通じて見えてきた個人だけでは解決できない地域課題が胸の中に重くのしかかりました。

(取材・写真/柳川あこ)