MAGAZINEプチさんマガ
「たくさんの人と”非日常”を分かち合いたい!」
岡田美恵さんが制服循環プロジェクトに取り組む理由
チャレンジプログラム(legare主催「Fantastico Marche~非日常を共有しよう~」)をはじめとした、おしゃれでセンスのいいイベント空間づくり。その現場には、必ずと言っていいほど、「空間屋」岡田美恵さん(新居浜市)の名前があがります。
そんな岡田さんが、今年は新たに「制服循環プロジェクトを手がける」と聞いたとき、実はちょっと意外だったんです。
なぜ、岡田さんが制服リサイクルを?
取材から伝わってきたのは、単なるプロジェクト運営に留まらない、岡田さんのブレない想いでした。
予想以上の反響! 集まった段ボール25箱分の制服
ーまずは、制服循環プロジェクトについて教えてください。
これは、もともとは松山のNPO法人ライフサポートアゴラさんが手がけているプロジェクトで、中古の制服を回収・格安で販売し、子育て世代のサポートをしようというもの。販売で得た利益も、子育て事業関連団体に寄付するなどします。
私はその東予地区を担当しているのですが、これから新居浜だけでなく、西条市、四国中央市、今治市にも少しずつ広げていきたいと思っています。
ーこれをやろうと思ったきっかけは何だったんでしょうか。
NPO法人ライフサポートアゴラ代表の相原さんと知り合い、このプロジェクトの東予地区での展開を考えているがなかなか広がらない、という話を聞いたんです。そのとき、「え! こんないいプロジェクトが広がらないなんてもったいない!」って。私も3人の小学生を子育て中だから、制服準備の大変さはよくわかる。だったら、私がやるわ! ってそんな感じでしたね(笑)。
ー実際、動かれてみて反響はいかがでしたか?
今年の春に、コープさんなど地域の拠点に協力をいただき、SNSなどを通じて初めて制服リサイクルを呼びかけました。これが予想以上の反響で。最初はあまり集まらないよ、と相原さんからも言われていたんですが、蓋を開けてみたら、段ボール25箱分も集まって。周りからも「楽しみにしています!」などの声をいただいていて、期待の大きさを感じます。
ーそして、9月に初回のイベントが行われるということですね。
はい、9月12日に、集まった制服の初めての販売会をします。本当は、得意分野でもあるマルシェも併設して、制服販売と組み合わせたイベントにしたかったのですがコロナで断念。会場は、廃校になった小学校を再生させた地域拠点「ワクリエ新居浜」を活用します。今後も、衣替えのシーズンごとに販売イベントができたらいいなと思ってます。
地域の雇用を生み出し、新しいつながりをつくる
ー岡田さんの本業である、空間プロデュースとの両立についても知りたいです。
「空間屋」は開業して今年で6年目に入りました。個人の誕生日会や企業のイベントプロデュースなど、バルーンを使った装飾やその販売、企画などに携わっています。でも、コロナで大打撃。衣食住に関わらない仕事なのである程度覚悟していましたが、今は、個人のお客様からのニーズにも積極的に応える形で、空間屋の仕事も並行してやっています。
ー実は私、おしゃれでセンスのいいイベントプロデューサーとしての印象が強かったので、岡田さんが制服循環プロジェクトを始めると聞いて少し意外だったんです。
そうですか? 私、センスがいいとかお洒落とかっていうのは、あんまりよくわからない。でも、ここ数年、SDGsに関心があって、SDGs関連の事業をしたいなというのはずっと思っていたんです。そんなときにNPO法人ライフサポートアゴラさんと出会って、リサイクルや子育て、地域づくり、すべて当てはまったというか。
ーそうだったんですね! SDGsが定着すれば、地域への影響も大きいですよね。
このプロジェクトで私が一番共感したのは、地域の雇用創出の部分です。単純に中古の制服を集めて販売して売り上げを寄付する、というだけではないんですよね。
雇用の部分では、すでに制服のクリーニングやネーム刺繍とりを、障がいのある方が働く作業所に委託しています。他にも、子ども食堂さんとも連携をとり、制服の仕分けやイベント準備を手伝ってもらっています。子育て世代の応援だけじゃなく、みんなとつながりながら続けていけるプロジェクトだなと感じています。
ー新しいつながりが生まれているんですね。
そうなんです。それも、今までつながりのなかった人たちとつながったことで、全く知らなかった世界を知りました。障がいのある方や貧困世帯の暮らしなど、知れば知るほどその大変さに驚いたり、胸がしめつけられたり。これを機に、もっといろんなことを知って、いろんな人とつながりたいなって思いますね。
非日常をもっと楽しみたい!空間屋プロデュースのイベントは続く
ーそれにしても、パッとすぐ行動できるのってすごいなと思います。
私は自分のことを凡人だと思っているんですよ。感覚が「普通」なんです。だから、私がいいなって思うものは、みんなもいいと思ってくれるはず、と思っている(笑)。後は動くか動かないかだけ。私は思いついたらすぐ動いちゃうんですよね。
でも、イベントって気持ちだけではなかなか難しい。どうやってお金を引っ張ってくるか、それを考えていくことも必要。この6年で経営について学び、ネットワークをコツコツ育んできたことが、今生きているという気がします。
ー地域を盛り上げるイベントを数々手掛けてらっしゃるなか、また一つ軸が加わった印象です。
やっぱり、一番テンションが上がるのはイベントを総合的にプロデュースするときなんですよね。楽しそうな空間を作って、そこにいるみんなが笑っている顔が見たい。私がイベントを創るときのコンセプトはずっと、”非日常”なんです。
田舎には何にもないってよく言いますけれど、だからこそ逆になんでもつくれるとも思います。地域には、いろんなことにたけている人たちが結構たくさんいる。そういう人たちが活躍できる場にもなったらいいなと思ってやってます。
ー制服循環プロジェクトの”非日常な”展開も?
そうそう、9月のイベントには間に合わないのですが、実は今、移動販売車を手配中なんです。試着室がついた車で、その場で制服を合わせられる。衣替えシーズンに、その車で学校を巡回していけたらと思っていて。単にどこかで制服を売るより、なんか楽しそうじゃないですか?
ー制服販売のイメージが変わりそう。ますます楽しみです!
(取材・文:高田ともみ、写真提供:空間屋)
【今回の取材先】「制服循環プロジェクト」
<制服販売会 開催概要>
日時:9月12日(日)11:00-16:00
場所:ワクリエ新居浜2F クラフトルームにて
内容:新居浜市内中心の制服の販売会
お問い合わせ:空間屋-me you- 岡田 080-6280-2364
※検温、消毒、参加者名簿作成により、コロナ感染対策を徹底して行います。
<延期・中止について>
ワクリエ新居浜が閉館となった場合、イベントは延期。開館の場合は、1週間前に延期するかどうかを判断します。最新情報などは空間屋SNSなどをチェックしてください。
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