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新居浜市「大島」発!あま〜くておいしい、
とっても希少な「七福芋」の正体とは?

2022.03.26

新居浜市の離島「大島」に、幻の芋と称される希少なさつまいも「七福芋」があると聞きました。島の方々には「白いも」と呼ばれ愛されています。その「七福芋」の栽培から販売まで行っているのが、今回の取材先である「株式会社七福芋本舗」さんです。

七福芋ってどんな芋なの? どうして幻の芋なの?

うわさの真相を確かめに、新居浜市内にある七福芋本舗に伺ってきました。

七福芋ってどんな芋?

JR新居浜駅から車で5分、新居浜市の中心地に七福芋本舗はあります。

七福芋について教えてくださったのは、七福芋本舗の白川真衣さん。

「七福芋は、新居浜市の大島で栽培されているのですが、地元の人たちには『白いも』と呼ばれています。実はこの七福芋は、日本でも3カ所でしか栽培されていないようで、大島の他には、長崎県と東京都、いずれも離島で栽培されています。その地域によって呼び名はいろいろとあるようです」

この大島で栽培した七福芋は、糖度が15度。なんと、栗きんとんと並ぶ甘さで、果物などと比べても格段に甘い芋なのです!

▲白くて、ひょうたんのような可愛らしい形の七福芋。

この七福芋は、毎年、梅雨ごろに芋の苗(ツル)を植え始め、10月〜11月後半に収穫します。その後、1カ月ほど貯蔵室で温度管理をして寝かせ、芋本来の甘みを引き出して、予約しているお客様へ年明けにお渡しするという販売方法を現在はとっています。

▲七福神にあやかって七福芋が7つ並んだ七福芋本舗さんのロゴ。とってもかわいいです。

七福芋を使ったおいしいラインナップ

七福芋本舗は、新居浜市の菓子店舗やパン屋さんなどとコラボをして、オリジナルのスイーツも展開しています。

「現在は、七福芋を使ったオリジナル商品をたくさん展開していますが、もともとは焼酎だけでした。この甘さを生かしていろいろと商品を作っていけないかと考え、新居浜市を中心に市内の菓子店やパン屋さんなどとコラボをして、商品を展開するに至りました。特に人気なのが食パンで、午前中には売り切れてしまうことがほとんどです」

▲「七福芋食パン」(400円)。お店は10時オープンですが、午前中に完売してしまうほど人気の食パン。
▲「太陽の白いもプリン」(400円)。冷凍なので、お土産やプレゼントにも最適。ちなみに白川さんのオススメの食べ方は半解凍の状態で食べること。周りが溶け始めて中心が硬い感じがGOOD!

店内の棚には、七福芋が持つ優しい甘みを引き出した本格芋焼酎のラインナップも豊富で、生きたままのスズメバチを閉じ込めたリキュールも展開しています。

▲左「長期熟成あんぶん25度」(2,420円)、中「長期熟成特旨あんぶん30度」(2,640円)、右「長期熟成七福芋リキュール蜂美酒」(5,280円)。
▲「ピンク色の包装紙で包まれた『あんぶん』はとてもかわいいですよ。リピーターさんにも人気です」と白川さん。

白川さんオススメのコラボスイーツは、新居浜市の老舗和菓子屋さんの蛭子堂とコラボした、どら焼きなんだそう。

「どのコラボ商品もおいしいのですが、蛭子堂さんとコラボした『白いも。黒三笠』が特に好きです。中の白あんに七福芋を練り合わせています。七福芋と白あんで中は白色、そして外は食用の竹炭を練りこんだ黒色の生地。白と黒のコントラストが印象的な和菓子です。私は冷やして食べることが好きですね」

▲「白いも。黒三笠」。店舗では売り切れていて販売されていなかったので、「蛭子堂」さんへ向かいゲットしました。確かにおいしい!!

七福芋自体がとても甘いので、その甘さを生かしてスイーツが製造されています。砂糖の使用量が抑えられるため、とってもヘルシーなんだとか。

このおいしい芋を伝えていきたい

2012年、先代社長である白石徹(とおる)さんが大島を訪れた際に、地元の方々に「白いも」と呼ばれる幻の芋があると聞いて食べてみたところ、あまりのおいしさに感動したことが七福芋本舗の始まりなんだそう。

「先代の社長は、この芋を新居浜市の特産物として栽培し、全国に発信していけないかと計画しました。現在もですが、当時から農家さんの高齢化を危惧していた先代は、継続して栽培する仕組みを模索しました。ところが、はじめのころは、島の外から来た人の言葉を農家さんたちは受け入れず大変だったそうです。しかし、諦めず何度も島に出向き、農家さんとたくさんお話をすることで信頼関係を築いていきました。そして、七福芋を商品化し出荷するところまでこぎつけ、畑もお貸しいただけるようになったんです」と白川さん。

「幻の芋」と呼ばれるゆえん

現在、大島の人口は約170人。その中でも七福芋を栽培している農家さんは10人以下。そしてそのほとんどの方は高齢者とのこと。この七福芋を守っていくためにも、白川さんをはじめ、七福芋本舗の皆さんで、苗付けの時期は島に渡り、みんなで七福芋の苗を植えています。その後は、なんと自然任せ!イノシシの対策はするものの、水やりも含め、秋の収穫の時期までは芋の世話はせず、全て自然に預けてしまうのだそうです。島が甘い七福芋を育みます。

苗付けや収穫ごとに島へ渡るのが大変なので、新居浜市内でも栽培できないかと試みたことがあるそうですが、「糖度が足りない」や「白くならない」など、大島で栽培されているような芋には成長しなかったとのこと。「七福芋」は大島の風土が生み出す特別な芋なのです。

さらに、作付面積には限界があるため、どんなに人気になっても出荷できる量は限られています。これが「七福芋」が幻の芋と称されるゆえんだったのです。

大島自体を盛り上げていくこと

人口減少の一途をたどる大島。

七福芋は、全盛期は年間40トン収穫されていましたが、後継者不足などもあり、現在は8トンほどまで減少。もちろん自然に左右されるので、その年ごとに収穫量は異なります。それでも、昨年は4トンとかなり少量しか収穫できなかったそうです。

「島外に出られてしまった農家さんも多く、雑木林になってしまった白いも畑もたくさんあります。昔は、島にたくさん白いもの畑があったそうです」と白川さん。

人口が減っていく中、生産だけを続けていくのは限界があります。そんな中、大島自体を盛り上げる試みが愛媛県や新居浜市の行政で取り組み始めているようです。

具体的には、大島のサイクリングコースのPRに力を入れ、閉鎖してしまった海水浴場を復活させよう!といった動きもあるとのこと。これからどのように大島が盛り上がっていくのかが楽しみですね。そして、大島の盛り上がりの一助に「七福芋」がなるに違いないと取材を通して確信しました。

最後に、2023年にお渡し分の七福芋の予約がスタートしています。夏〜秋にかけて完売してしまうことも多いようなので、気になった方はぜひ、今のうちから予約してみてくださいね!

(取材・文/廣瀬麻衣、一部写真提供/七福芋本舗)

【今回の取材先】

株式会社 七福芋本舗

住所:愛媛県新居浜市久保田町3-9-27号

電話:0897-34-9515

HP:https://shitifukuimo.co.jp/