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爽快感と達成感にズッキューン!と、心を打たれる射撃の世界を覗いてみた!!

2022.12.28

張り詰めた緊張感の中、正確に標的を狙い撃つため引き金を引く。命中した時には他では得られない爽快感と達成感が味わえる。ヨーロッパでは何百年前から行われていて、紳士の嗜みとして知られている。何がって??「射撃」です。

オリンピック競技にもなっていますが、普段の私たちの暮らしではなじみが薄い射撃。いったいどこでできるのだろう・・・。その射撃場が四国中央市にあるので、訪ねてみました!

射撃のワンダーランド「四国中央射撃場」

四国中央市の川之江地区、山間部に少し入った清閑な場所に「四国中央射撃場」はあります。オープンは1978年。歴史があるだけでなく、四国でここにしかない設備もあって愛好家には名の知れた施設です。愛媛だけでなく、香川や徳島からも愛好家が通います。このところ、30歳前後の若い人や女性が増えているそうです。

射撃には大きく3つの種類に分けられます。空中に飛ばしたお皿を撃つ「クレー射撃」、遠くの的を狙う「ライフル射撃」、横に移動する的を狙う「ランニングターゲット射撃」。この3つの射撃がそろっている射撃場は珍しく、しかもライフル射撃の最長レンジ(的までの距離)が100ヤード(91m)というのは四国唯一。そう聞くと、ここは射撃のワンダーランドといったところでしょうか!!

お伺いした日は、空中に飛ばしたお皿を撃つ「クレー射撃」と、遠くの的を狙う「ライフル射撃」が行われていたのでお話を聞いてみました。

反射神経を駆使するクレー射撃

まずはクレー射撃。薬莢に小さな粒弾が入った弾を撃つ散弾銃を使って競技します。お皿をどれだけ命中させたかを競うわけですが、飛ぶ方向(真ん中、右、左)はランダム。反射神経とお皿がどう動くかを予測する状況判断能力が求められます。

▲写真左上のオレンジの小さな点がクレー

写真を見てあれあれ??撃つ場所(射台といいます)が違うぞと思ったあなたは射撃の魅力に囚われ始めています。そう、クレーの発射台からの距離が違うのです。左の写真は5m、右の写真は15mです。

5mは銃に慣れる、銃のコンディションを確認する際に使用。始めたばかりの人や新調した銃を試したい人、あとは猟友会の人が使ったりします。猟友会は有害鳥獣(雉、猪、鹿など地域によってさまざま)を駆除している人たちのことで、猟期前には必ず練習を行うそうです。
15mは競技用の距離。オリンピックもこの距離で戦います。距離が長いほうが当然、難しいです!

集中力を研ぎ澄ますライフル射撃

ライフル射撃は、遠くに設置された標的の中心にどれだけ近く撃ち込めるかを競います。ダーツみたいな感じなので想像がしやすいかと。私がイメージする射撃はこれでした。的が止まっているので簡単に思えますが、遠くにあるのでちょっと手元が狂えば大変なことになります。集中力と忍耐力が必要だそうです。

銃は主に命中精度が高いライフル銃を使います。薬莢に入っている弾はひとつです。散弾銃よりも遠くに飛ばせる構造になっていて、その分威力も強いので取り扱いは散弾銃よりも厳しい基準が設けられています。主に、というのは実は、散弾銃でもライフル射撃はできます。その場合、薬莢の中にひとつだけ弾が入っているスラッグ弾を使います。

射撃の疑問あれこれをぶつけてみてわかったこと

・銃の重さは3.5kg程度。結構重たい。
・散弾銃のほうが薬莢は大きい。
・銃の価格は30万から500万円!!
・銃には右用、左用がある。
・銃声で耳を痛めるので耳栓は必須(皆さんヘッドホンのような耳栓をしていました)
・ライフル銃の薬莢は自作できる。
・銃と薬莢の所持は警察の許可が必要で、試験に合格しないと買えない。
・警察の許可がない人が触ったり、所持していると銃刀法違反。
・銃の所持者は許可がない人にさわらせてはいけない。
・銃の検査や申請事、許可証継続のための技能講習の実施など日本は世界一厳しいルールがある。

ズバリ射撃の魅力とは

許可や申請などいろいろと大変そうな射撃。でも、競技の出来栄えを話し合ったり、銃を見せ合ったりと、やっている皆さんはとても楽しそうでした。

始める理由は皆さんそれぞれ違います。自然が好き、狩りが好き、銃が好きとか。魅力は、当たったら気持ちいいとか、ストレス解消になるとか、仲間との交流が楽しめるとか。大きな音や撃つ際の衝撃など普段の生活では味わえない非日常体験も魅力の一つ。そしてお一人がとっても納得すること言ってくれました。「ゴルフや釣り、バイクツーリングなどと変わらないですよ。好きだから趣味にしているだけです」。取り扱いには厳重注意だけど、なるほど、深く考えなくていいのだと思いました。

(取材・撮影/さんマガ編集部)

【取材先】
「四国中央射撃場」
〒799-0112
愛媛県四国中央市金生町山田井537-18
TEL:0896-58-4185
営業時間:土日祝日10:00~日没、平日12:00~日没(月曜定休)
http://wwwc.pikara.ne.jp/shikokutyuuou/index.html

※以下に射撃の基本をざっくりとまとめました。射撃のこともう少し知りたいという人は読んでみてください。

射撃の基本① 種類は大きく分けて3つあります。
「クレー射撃」
空中に飛ばされたクレーと呼ばれるお皿を撃った数を競います。競技場の形で大きく2つに分けられます。ざっくりいうと、長方形で協議を始めやすい「トラップ」と難しい半円状の「スキート」です。
「ライフル射撃」
固定された標的を狙って撃ち、中心にどれだけ近いかを競います。ダーツと似たような感じですね。使用する銃によって違いますが、標的までの距離は種目によって10m、30m、50m、70m、100ヤード(91m)といろいろ。撃つ姿勢も「立ち」「しゃがみ」「寝そべり」の3種類あります。
「ランニングターゲット射撃」
横に移動する標的を撃ち、中心にどれだけ近いのかを競います。的が動くという意味ではクレー、的の中心を狙う意味ではライフルに近い気がします。でも標的の動き方は、クレーは鳥で、こちらは猪や鹿的な感じでしょうか。

射撃の基本② 銃も大きく分けて3つあります。
「散弾銃」
名前の通りバラバラの粒弾(散弾)を発射する銃です。粒の大きさはいろいろあって小さいものだと1つ薬莢に800粒も入っています。それから、粒が1個のスラッグ弾というものあります。普通の散弾でクレー射撃が、スラッグ弾でライフル射撃とランニングターゲット射撃が行えます。万能な銃です。
「ライフル銃」
長距離の射撃に適した銃です。銃身の内側にらせん状の溝(これをライフルというらしい)が付いていて、このらせんに沿って弾が進むことで弾自体がくるくる回転して命中精度が高まります。威力も強いので取り扱いは散弾銃よりも厳しくなります。
「空気銃」
散弾銃とライフル銃は火薬を使うのに対して、空気銃は空気や不燃性のガスを使い弾を発射させます。といっても弾は鉛製。サバゲーなどに使うエアガン(トイガン)とは違って所持するのに警察の許可が要ります。

射撃の基本③ 銃を触るのも所持するもの許可が必要です。
 「散弾銃」
講習会を受け最後に行われるテストに受かった上で実技講習に合格する⇒大変
 「ライフル銃」
散弾銃を連続して10年以上所持することが必要⇒結構大変
 「空気銃」
講習会を受け諸々の手続きが完了すればOK⇒割とスムーズ

射撃の基本④ 射撃を始める目的は大きく2つ。
 「狩猟」
山などに赴き銃を使い、鳥や猪、鹿などを捕獲します。地域の猟友会に所属して活動します。狩猟してもいい時期が決まっていて、解禁に備えて射撃場で腕をならします。
 「競技」
スポーツとして、または、銃が好きだから射撃をします。