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「第4回高校生による歴史文化PRグランプリ」で
新居浜南高校が最優秀賞受賞!
別子銅山の魅力をポスターで伝える。

2022.03.30

東予の歴史文化資源の魅力を高校生が伝える「第4回高校生による歴史文化PRグランプリ」の最優秀賞に、新居浜南高校が選ばれました。歴史文化PRグランプリは、東予5市町と愛媛県東予地方局で構成する「東予歴史文化資源活用市町連携協議会」が2018年度から開催しているもの。本年度は東予管内の高校生と愛媛大学生が協力してデジタルポスターを作成。2022年2月11日に、プレゼン大会がオンラインで開催されました。

最優秀賞に選ばれた新居浜南高校の発表テーマは「別子銅山について」。ポスターに込めた想いを新居浜南高校の皆さんに聞きました。

新居浜南高校「ユネスコ部」と「地域共創系列」からなるチーム

▲左から、村上彰太(しょうた)さん(3年)、渡辺萌々菜さん(3年)、戸田航輝さん(1年)

今回、最優秀賞に輝いた新居浜南高校のメンバーは、「ユネスコ部」部長の村上彰太(しょうた)さん(3年)と次期部長の戸田航輝(こうき)さん(1年)、地域について専門的に学ぶ学科「地域共創系列」の渡辺萌々菜さん(3年)です。

「ユネスコ部」は、前身の「情報科学部」が1997年に活動を開始。25年にわたって別子銅山の近代化産業遺産をテーマに調査、研究を続けています。1999年からは、ふるさと学習として部員自らがガイドブックの作成や産業遺産を巡るガイドを行ない、地域の魅力を伝えています。2010年に新居浜南高校が四国で初めてユネスコスクールとして認定を受けると、部の名称を「ユネスコ部」に変更。2017年には「未来をつくる若者・オブ・ザ・イヤー」で内閣特命担当大臣賞に輝くなど、地域に根ざした活動をしています。

▲1999年より制作され、毎年少しずつ更新されているガイドブック。文章はもちろん、写真の撮影からページのデザイン構成、イラストまで全て部員が手がけています。

また、新居浜南高校は普通科と専門学科があり、専門学科の生徒は2年生のときに自分の興味に合わせて授業を選択できます。その中で、特に地域について学べるのが「地域共創系列」です。

今回の取材は、卒業式を前日に控えた2月28日に新居浜南高校で、ユネスコ部の村上さんと戸田さん、顧問の河野先生に話を伺いました。

中学生のときにふるさと教育の授業の中で別子銅山の歴史を学び、その後、登山などを通してますます別子銅山の魅力にひかれていった村上さん。

「もっと別子銅山について知りたい!勉強したい!と思っていたとき、新居浜南高校のユネスコ部を知って、この学校を受験しました」

戸田さんも、「ふるさと学習の中でガイドをされていたユネスコ部の方に憧れて、ユネスコ部に入りたくて新居浜南高校に進学しました」と話します。

現在、部員は2名と少ないながらも、別子銅山の魅力を伝えるために、精力的に活動をしています。今回の「歴史文化PRグランプリ」では、活動を引き継ぐ意味合いを込めて、戸田さんが1年生ながらリーダーを務めました。

外からの視線の大切さ

今回の「歴史文化PRグランプリ」は例年と異なり、愛媛大社会共創学部井口梓研究室の学生らと高校生がタッグを組んでポスターを作成。ポスターの作成にあたって印象に残ったことを村上さんに伺いました。

「まずは、大学生の皆さんとオンラインで打ち合わせを行って、フィールドワークで新居浜市内のどこへ行くかなどを決め、現地に行きました。そこで撮影を行なって、後日、ポスターにする4枚の写真を決めて、キャッチコピーを考えました。その後、みんなでキャッチコピーをブラッシュアップして、ポスターを完成させました」

活動の中で特に印象に残ったのは、新居浜市外の大学生から見た、新たな視点だったそうです。

「僕たちは、別子銅山というと、山根精錬所煙突の『シンボルタワー』がすぐに思い浮かぶのですが、大学生の人たちは、その煙突の周辺の環境整備を行なっている『えんとつ山倶楽部』の皆さんが山の中に設置したポストがおもしろいと着目し、この写真をポスターにしました」

市外の人と活動することで、新鮮なまなざしで新居浜市を見ることができたそうです。

最優秀賞を受賞したポスターを紹介

「歴史文化PRグランプリ」で作成したデジタルポスターは4枚。「山の上にポスト?」以外のポスターについても、思い入れや作成秘話を聞きました。

こちらの作品のキャッチコピーは、「わたしの通学路はかつて銅を運ぶ鉄道だった」。このキャッチコピーをメインで考えたのが、村上さん。この道は、実際に村上さんが毎日使っている通学路なんだそうです。

「かつては機関車が走っていたことは知っていたのですが、改めてポスターにしたことで、見慣れた光景が今までと全く違って見え、新鮮な気持ちになりました。さらに自分の声で『通学路が鉄道だった』と伝えられたこともうれしいです」(村上さん)

次の作品は、「走れ41社の想いを乗せて」。「マイントピア別子を走っている観光列車は、新居浜機械産業協同組合の企業41社の産業技術が集結したものだった」と今回のフィールドワークで初めて知った戸田さんが、メインでキャッチコピーを考えました。

「今回のポスター作りで、新居浜市の企業が協力して観光列車を作っていたことに感動しました。幼いころから慣れ親しんでいた観光列車には、こんなドラマがあったんだと新たなことを知って、地元企業さんのことを誇りに思いました」(戸田さん)

▲邸宅を当時としては珍しい2階建てとしたのは眺望を重んじてのことだが、ただ景色を楽しむのではなく、鉱山に育てられた恩を忘れることなく、子孫にも伝えていくという想いが込められています。

最後の作品は、取材には同席できなかったもう一人のメンバー、地域共創系列の渡辺さんが中心になって作った1枚。

工業都市・新居浜の発展に貢献した広瀬宰平(さいへい)の邸宅、旧広瀬邸2階の「望煙楼(ぼうえんろう)※」から見た景色に、「広瀬宰平のまなざし」というキャッチコピーをつけました。どんどん発展を遂げていく新居浜市を一望できるこの窓から、広瀬宰平は何を思ったのか……と想いをはせることができるポスターに仕上がっています。

※広瀬宰平は、新居浜市内を一望できる母屋の2階を望煙楼と名付けました。「煙」が、別子銅山の製錬所の煙を指しており、望煙楼からは別子銅山を望むことができます。

ユネスコ部のこれから

ユネスコ部は現在2名。部長の村上さんは、次期部長の戸田さんに想いを託します。

「なかなか、コロナ禍で思うように活動ができなくて、自分が1年生のときは忙しく活動をさせてもらっただけに、そういった経験を戸田くんにさせてあげられなかったのは悔しいんです。でも、今回の『歴史文化PRグランプリ』で戸田くんもしっかり活動できるようになって、安心して新部長を任せることができます」

『第4回高校生による歴史文化PRグランプリ』で最優秀賞に選ばれ、高校生活の有終の美を飾った村上さん。

「今後も地域共創系列とユネスコ部、二人三脚で別子銅山の魅力を発信していきたいですね」と河野先生(左)。

ユネスコ部の村上さん、戸田さん、地域共創系列の渡辺さん、本当におめでとうございます!

ますますの活躍を期待してます。

【今回の取材先】

愛媛県立新居浜南高等学校 ユネスコ部 地域共創系列

住所:新居浜市篠場町1番32号

お問い合わせ:0897-43-6191